H27年9月5日(土) 横浜市歴史博物館講堂にて行われた 都筑区「認知症フォーラム」第2部 リレートークに 代表の赤澤礼子が登壇しました。

 

 

当日は前代表の赤澤礼子が、「コツコツ」の立ち上がりのきっかけから現在の活動までをお話しし、私たち運営委員の認知症カフェに対する思いを伝えました。

 

(以下ほぼ全文まま)

 

 

  コンニチワ!

カフェ「コツコツ」ってちょっと変な名前と思われるかもしれません。どうして、また「骨々」という名前を付けたのですかと聞かれた事があります。「コツコツ」と発音してみて下さい。この名前には、お互いのハートをやさしく「コツコツ」とノックしようという気持ちが込められています。加えて地道にコツコツと活動をやって行こうという、我々自身の戒めもあります。

 昨年の今頃このフォーラムで、ボランティア仲間の方が認知症介護者として話をされたので、友人数人で応援がてら参加しました。その時都筑区の認知症カフェ1号店、「ほほえみ交流カフェ」の山田さんも話されていて、さらりと、2,3か月でチャチャッと立ち上げることが出来た、とおっしゃったのです。

 私達は、すみれが丘地区で生活支援ボランティアをしている仲間です。最近そのニーズの中で認知症の方達との関わりがあり、対応にいろいろ戸惑ったり悩んだりしていたところでした。

 それから私の個人的な事ですが、知り合いに認知症の方がいらっしゃいます。いつも明るく趣味も合っていて、その方とずっとこの街で暮らして行きたいといつも思っていました。バスと電車を乗り継いで行く東山田ケアプラザは、残念ながら少し遠すぎてなかなか足が向きません。歩いて行ける所に認知症の方も気軽に行けるカフェがあれば、美味しいコーヒーを飲みながら、四季折々の話をすることが出来ます。

立場を変えて考えると、もし私が認知症になっても、そんな居場所があれば・・・なんだか名前もよく思い出せないけれど、やさしさと親しさを感じる友がそこにいたら、どんなにいいだろうとも思います。

 

運営委員のカフェに対する思いは各自の立場でそれぞれ違いますが、私達の地域に「認知症カフェ」が必要なのだという思い入れは強く、チャチャッと出来るという簡単さを信じ、自分たちの手で作ろうという気持ちは、ゆるぎないものがありました。

思い立ったら吉日で、すぐに東山田ケアプラザに相談に行きました。私達が全く何も知らない素人という事もありますが、区役所、東山田ケアプラザ、区社協、北山田小学校コミュニティーハウスの皆さんが、ノウハウ的にも精神的にも熱く支援して下さいました。本当に感謝しています。

しかし、そんなに応援があるにもかかわらず、そう簡単にはまいりません。問題が次から次へとありました。

 まず認知症は、発症すると大変怖い病気らしいという偏見が根強い事、又、認知症カフェと言う言葉も全く新しく認知症当事者のミニデイサービスと勘違いされている方も多い様です。加えて、私達の地域では認知症の見守りや支え合いの取り組みを行っている団体も少なく、認知症カフェの活動について協力や理解も得られにくい現状がありました。

しかし、私達はそんなに若くありませんし、住み慣れたこの地区が大好きでずっと暮らして行きたい気持ちで一杯です。その為にカフェの種を早くまきたい。根を張るにも、花を咲かせるにも時間がかかります。そんなせっぱ詰まった思いに突き動かされていました。

 

どんなカフェが「すみれ流」なのかを考えました。

すみれが丘地区は一戸建てが中心です。しかも70才前後の高齢者が多いので、ここは「本物志向」で行こうという事になりました。広報用などの印刷物には、決まった1つのロゴを使って視覚からコツコツをアピールしよう。

使用する場所は、味気ない研修室です。ちょっとおしゃれなテーブルクロスを掛け、小さなお花を飾れば、リラックスできるかもしれないとか、コーヒーカップはプラスチックでなくて陶器の物で、それを温めて美味しいコーヒーを飲んでもらおうなど。

 

来店者は「カフェ」に何を求めているのか、私達は、何を発信したいのかを踏まえて、二年分位のテーマを出し合い、一年分の具体的な内容を決めています。ミニ講演だけでなく「もし、自分が認知症になったら」等、テーマを決めてディスカッションする参加型の企画もたてています。

 

現在(注:H27年時)は、毎回ボランティアを含め35人から48人の方が参加されています。常連さんや顔なじみの方が出来て和やかです。

専門職としましては、都筑区の認知症サポート医の小林雅子先生が地域医療に大変尽力されておられ、いろいろ相談にのって下さり、ご都合のつく限り参加いただいています。

他に、東山田ケアプラザの職員がひとり、ボランティアの中に、社会福祉士、行政書士、看護士などがいまして毎回出席しているので、いろいろな方面の相談や話題にも対応できる体制は整っていると思います。

まだ手さぐりですが、私達は、認知症を通して地域コミュニケーションの輪を作ろうとしています。この数回の内でも「認知症カフェは、生きている!」という言葉を実感します。毎回その輪は、形を変え、色を変え拡がっている様に感じます。

私達の活動が地域の人達をつなぐ、ご近所力をつちかう手助けになればと思います。今の「コツコツ」は高齢者が主体ですが、認知症は、年齢に関係なくみんなの問題です。若いお父さん、お母さんや子供達も一緒に身近な支え合いの輪が、育って行ったらいいと考えます。

 

徘徊の見守りについては、これは問題が少し違ってくるように思います。近所同士の見守りを基盤に、町内会やそれらをつなぐもっと大きな組織ぐるみのネットワークを作って、すみずみまできめ細かな対応が出来るようにしてこそ成果を発揮できる気がします。大きな輪と沢山の小さな輪がリンクし合ってこそ、いつまでも住んでいたいわが町になるのではないでしょうか。

 私達「コツコツ」のメンバーは、ちょっとした思いやりと情熱はありました。特別なものを持っていた訳ではありません。しかし色々な方々の熱い思いを沢山いただいて運よく小さな輪の一歩が踏み出せました。

 皆さんの住んでいらっしゃる地域でも、小さな輪への芽は、どこかでふくらんでいるでしょうか?